ノラブログ。               

 
 
 
 
 

書評

俺は怒っているのだ。

俺は怒っている。 表紙絵からとても期待したのに、普通のイケメンが普通の格好で普通に女の子とイチャイチャする漫画を読まされたからだ。 女形の、オトコな素顔?ちゃんと俺を見てイって。(1) (TLスクリーモ) 作者: さき宛 出版社/メーカー: スクリーモ 発売…

【書評】「文化部」系物語を読むー『げんしけん』と『ぼくは落ち着きがない』

げんしけん(1) (アフタヌーンコミックス) 作者: 木尾士目 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2012/09/28 メディア: Kindle版 購入: 2人 クリック: 2回 この商品を含むブログを見る 『げんしけん』(木尾士目、講談社アフタヌーンKC)の連載開始が15年前と…

ヤバい人たちに洗脳されないために

そういやここんとこ雑文とか書いてねーな、と思ったのでふと書くよ。 最近、集団における人間の心理に興味があって、手当たり次第にノンフィクションを読んでいた。 興味の矛先は、端的に言えば、「ひとはなぜ集団のなかで狂うのか」ということだ。 ちょっと…

【日々雑感】おとこがおんなになるということ

3月17日「おとこがおんなになるということ」 ・不知火京介『女形』読了。現代日本の梨園(歌舞伎業界)を舞台にしたミステリ。若き大部屋役者の主人公が、京都と東京の舞台上で同時に起きた毒殺事件の謎を追う。 女形 (講談社文庫) 作者: 不知火京介 出版社/…

【書評】真冬が舞台なのに暑苦しい、変な小説―『人間動物園』(連城三紀彦)

人間動物園 (双葉文庫) 作者: 連城三紀彦 出版社/メーカー: 双葉社 発売日: 2005/11 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 92回 この商品を含むブログ (44件) を見る 華麗な筆致と技巧的な作風で知られた連城三紀彦が、久々に本格ミステリに取り組んだとして…

中野ブロードウェイに刻まれた戦争の記憶

また地震がありましたな。 俺はといえば初期微動の段階でハッと目が覚めて、そのまま本震に突入してゆっさゆっさ揺れていても、相変わらず寝っ転がったままぼんやりと天井を眺めてました。 たぶん、いざ震度7とかアホみたいな揺れが来たとしてもやっぱりこ…

通過儀礼としての初恋

1月31日「通過儀礼としての初恋」 ・『イニシエーション・ラブ』(15・日)視聴。乾くるみの小説の映画化である。監督は堤幸彦、主演は松田翔太と前田敦子(あっちゃん)。堤さん、去年は大忙しだなぁ。 ・元々玄人筋の評価の高かった乾くるみだが、テレビで…

オタクになれないオタクたちへ

1月14日「スパイ大作戦」 ・レオ・マルティン著『元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術』を読む。著者はドイツの諜報機関で働いていたという人。写真見たらハリウッド俳優みたいなイケメンである。ずるい。絶対フカシだこいつ。 元ドイツ情報局員が明…

「書評家」エル氏の肖像

mixiがまだ元気であったころ、僕は毎日せっせと本や映画のレビューを書いていた。レビューからうちのページへと辿って来る人もいて、日記へのコメントやメッセージなどを貰うこともしばしばあった。 そんなある日、「書評家」を名乗るユーザーからマイミク申…

心に何かが突き刺さるー真木武志『ヴィーナスの命題』

部屋の書架の大規模なリストラを行った。「残す本」と「捨てる本」を決めるわけだが、結果として本棚に残った作品を見てみると、意外な事実に気付く。そこに並んでいるのは、必ずしも自分が高評価を与えた本ばかりではないのだ。 作品として「面白い」という…

【書評】「第三の選択」同人誌マーケットの必然的な出現ー霜月たかなか『コミックマーケット創世記』

コミックマーケット創世記 作者: 霜月たかなか 出版社/メーカー: 朝日新聞出版 発売日: 2013/06/10 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る コミックマーケット(コミケ)の設立から30年間にわたって関わり続けた米沢嘉博の死(06年)は記憶に新しい…

【書評】社会学の古典にして刺激的な謎解き本-デュルケーム『自殺論』

自殺論 (中公文庫) 作者: デュルケーム,宮島喬 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1985/09/10 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 137回 この商品を含むブログ (77件) を見る あくまで個人の問題と考えられていた「自殺」という現象を社会学的に考察し、…

【書評】時代と対峙する作家の焦燥感ー村上龍『イン・ザ・ミソスープ』

イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫) 作者: 村上龍 出版社/メーカー: 幻冬舎 発売日: 1998/08 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 25回 この商品を含むブログ (55件) を見る 年の瀬の歌舞伎町を舞台に、不気味なアメリカ人・フランクとその案内をする日本人青…

【書評】教養と宗教とオカルトのあいだー嵐山光三郎『死ぬための教養』

死ぬための教養 (新潮新書) 作者: 嵐山光三郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/04/10 メディア: 新書 クリック: 4回 この商品を含むブログ (11件) を見る 小さい頃、死ぬのが本当に怖かった。脈があれば生きているのだと知って自分の腕を握り「脈がな…

【書評】究極におろかな人たちへ贈る、最高の賞賛ーW・ノースカット『ダーウィン賞!』

ダーウィン賞!―究極におろかな人たちが人類を進化させる 作者: ウェンディーノースカット,Wendy Northcutt,橋本恵 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2001/05 メディア: 単行本 購入: 4人 クリック: 18回 この商品を含むブログ (10件) を見る ダーウィン賞は…

【書評】これほど「フェア」なミステリが、どこにある?ー倉知淳『星降り山荘の殺人』

星降り山荘の殺人 (講談社文庫) 作者: 倉知淳 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 1999/08/10 メディア: 文庫 購入: 4人 クリック: 31回 この商品を含むブログ (90件) を見る ミステリにおけるトリック、特に叙述トリックは、しばしばフェア/アンフェア論…

「お手軽」なエッセイ漫画なんかいらない―ハイシマカオリ『ケチケチしないで500万円貯金しました』

ケチケチしないで500万円貯金しました (宝島SUGOI文庫) 作者: 小宮一慶,ハイシマカオリ 出版社/メーカー: 宝島社 発売日: 2012/03/06 メディア: 文庫 クリック: 1回 この商品を含むブログを見る 職場の昼休みにブックオフで買ってぱらぱら読んでいたが、その…

【書評】ぼくたちには陰謀が足りないー滝本竜彦『NHKにようこそ!』

俺がこんなに苦しいのは、俺が悪いからじゃない。 誰か他に、悪い奴がいるはずだ。 滝本竜彦の手にかかると、この主張がある種の説得力と正当性を帯びて見えてくるのだから面白い。 NHKにようこそ! (角川文庫) 作者: 滝本竜彦,安倍吉俊 出…

【書評】貫井徳郎『愚行録』:悪意のない悪意が跋扈する、愚か者たちの世界へようこそ

愚行録 (創元推理文庫) 作者: 貫井徳郎 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2009/04/05 メディア: 文庫 クリック: 20回 この商品を含むブログ (45件) を見る 閑静な住宅街で、一家4人が惨殺される事件が発生。幸福そうな家族はなぜ殺されたのか。隣人、友…

【書評】不完全な物語を味わい尽くす愉しみ-木原浩勝・中山市朗『新耳袋』シリーズ

百物語をすると、たいてい百話目に到達する前に断念するという。何らかの理由で欠席者が出たり、途中で不可思議な現象に遭遇したり、参加者の誰かが身体の不調を訴えたり…しかし、こうして百物語を中止することになった人々は幸福なのかもしれない。百話目を…

【書評】日本社会に潜むグロテスクな「何か」ー山本七平『空気の研究』

「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3)) 作者: 山本七平 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 1983/10 メディア: 文庫 購入: 84人 クリック: 673回 この商品を含むブログ (199件) を見る ひと頃「KY」なる言葉が最大瞬間風速的に流行ったが、あれは一体何だったの…

大学新入生にオススメしたい本を10冊選んでみた。

4月ってことで、突発的な企画。 「必読」とか大それたことは言いませんが、大学新入生(というか、若者全般)に向けて、読んでおくと今後の人生とかにおいてプラスになるかもよって本を選んでみました。 スティーヴン・R・コヴィー『7つの習慣』 7つの習慣…

【書評】初音ミク、キミは誰のために歌う?―cosMo@暴走P『初音ミクの消失』

初音ミクの消失 小説版 作者: cosMo@暴走P:原作 cosMo@暴走P 阿賀三夢也:作夕薙:絵 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2013/08/01 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る VOCALOIDソフト「初音ミク」の名は、多くの人がご存知だろう。緑色のツイ…

【書評】ダイヤモンドのように光り輝く読書の足跡ー坪内祐三『新書百冊』

新書百冊 (新潮新書) 作者: 坪内祐三 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2003/04/10 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 14回 この商品を含むブログ (36件) を見る 他人の本棚を覗くのは楽しいものだ。 自分の好きな本があれば、自分とその人物の琴線の共鳴…

【書評】あっけらかんとした明るさのなかにほの見える「死」の匂いー北杜夫『どくとるマンボウ青春記』

どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫) 作者: 北杜夫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2000/09/28 メディア: 文庫 購入: 10人 クリック: 57回 この商品を含むブログ (60件) を見る 旧制高校を舞台に、著者自身の青春時代を綴ったエッセイ。先年亡くなった北杜…

【書評】「よし、この斧でドアをぶち破る…のは止めとこうか、やっぱり」ー石持浅海『扉は閉ざさされたまま』

扉は閉ざされたまま (祥伝社文庫) 作者: 石持浅海 出版社/メーカー: 祥伝社 発売日: 2008/02/08 メディア: 文庫 購入: 2人 クリック: 32回 この商品を含むブログ (69件) を見る 「倒叙ミステリ」と呼ばれるジャンルがある。 事件が起き、探偵が推理し、最終…

世にも不思議な「浪人」という生き物ー牧野剛『浪人しないで何が人生だ!』

浪人しないで何が人生だ!―「成功する浪人生活」の過ごし方 (大学受験ポケットシリーズ) 作者: 牧野剛 出版社/メーカー: 学習研究社 発売日: 1996/03 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 26回 この商品を含むブログ (7件) を見る 「浪人」とは主君を失った武…

【書評】「いま」と「永遠」の狭間でー恩田陸『六番目の小夜子』

六番目の小夜子 (新潮文庫) 作者: 恩田陸 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2001/01/30 メディア: 文庫 購入: 5人 クリック: 65回 この商品を含むブログ (395件) を見る 舞台仕立ての周到さ、特に「学校」を魅力的に描くということにおいて、現代日本で恩田…

【書評】もしも夏コミで殺人が起きたら-小森健太朗『コミケ殺人事件』

夏です。海です。スイカです。 でもそんな事とは微塵も関係なく、我々はコミケです。 てなわけで、時期ネタってことで今回紹介する本はこちら。 コミケ殺人事件 (ハルキ文庫) 作者: 小森健太朗 出版社/メーカー: 角川春樹事務所 発売日: 1998/12 メディア: …

【書評】佐村河内氏の自伝を読んでみた。

佐村河内氏、著書の音楽修業「すべてうそ」講談社が謝罪 - 芸能 - ZAKZAK 昼間の会見を受けてタイムラインは小保方女史の話題で持ちきりである。 それはそうと、STAP細胞騒動と時を同じくして今やすっかりお茶の間のエンタメ芸人と化してしまった佐村河内守…