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ノラブログ。               

 
 
 
 
 

世界は、死人とskypeで会話できる時代に突入していた-映画『アンフレンデッド』感想(ネタバレなし)

映画

 

 

『アンフレンデッド』(2015・米)

 

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ネットいじめにより女子高生ローラ・バーンズが自殺して1年後、級友だったブレアら6人の男女は、Skypeを使ってグループ会話を楽しんでいた。その時ふと、会話グループに見慣れないアカウントが混じっていることに気づく。何度再接続を試みても、そのアカウントは一言も発しないままそこに存在していた。すると今度はブレアのFacebookに、死んだはずのローラのアカウントからメッセージが届き…。

 


『アンフレンデッド』予告編

 

 

 

70

 

 

 

ひとこと:

SNSってほんとうにめんどくさいですね。

 

 

 

パラノーマル・アクティビティ』の系譜に連なる、いわゆるPOVホラーの亜種といえる作品。

本作は手持ちカメラの映像ではなく、パソコンの画面上だけで全編展開されるってのがウリ。

 

 

事件の発端となるローラの自殺は、自分の恥ずかしい映像(中身については中盤で明かされる)をYoutubeにうpされて「祭り」になっちゃったのが原因ってことで、いかにも現代でありそうな話。

Facebookに次々コメントが書き込まれていくシーンなど、一昨年公開されたネットいじめを題材とした作品『ディス/コネクト』を彷彿とさせます。

 

ディス/コネクト [DVD]

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さて、このネタ。

アイディアとしては面白くなりそうですが、ぶっちゃけ誰でも思いつきそうなお話です。

 

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ただ、あまたの『パラノーマル』パクリ派生映画とは違い、きちんと仕掛けや構成を考えて作られているのがこの映画の偉いところ。要は一発ネタ作品だけど、そのアイディアだけに寄りかからずにちゃんと智慧を絞って観客を楽しませようという努力が垣間見える、そこがエライってことですね。

 

 

 

感心したのは、「導入」にたっぷり時間をかけていること

上映時間83分とかなりタイト(これ自体も好ましい)なわりに、この映画は導入部がけっこう長いんですよ。本格的に「はい、ここからヤバくなってきますよ~」モード(具体的には、最初の犠牲者が出るあたり)に切り替わるまでが、すなわち本格的に話が動き出すまでが意外と長い。

 

 

なんでこれが(・∀・)イイ!!かって言うと、「日常」世界の描写をちゃんとやろうとしてるからです。

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この手のモキュメンタリーホラーって、どんだけ作品世界に現実感を持たせられるかが勝負じゃないですか。

スクリーンで展開される怪異を、観客にとって現実と地続きのものとして捉えてもらう、すなわち「この恐怖はいま、あなたのすぐそばにある」ってお題目に説得力を持たせないと、ただのチープな凡百のホラーに落ち着いちゃうわけ。

 

だから、恐怖が始まる以前の平和な「日常」部分をきちんと描いて、そのフィクション世界に説得力を持たせる、言い換えれば「観客のいる現実と映画という虚構を繋げる」という作業が必要なんです。

 

 

この映画では、やばそうな動画が流れたり変なメッセがきたりと冒頭から不穏な動きは次々と起きるものの、少なくとも前半部においては、「怪異」が一定のラインを超えて現実に侵食してくることはありません。せいぜい恋人と「なんじゃこれ?怖くね?やばくね?」ってノンキに会話する余裕がある程度の「怖さ」に留まってくれています。

 

それに加えて仲間のバカ騒ぎとか、どうでもいい話題とかでその都度日常テンションに戻ったり、Skype繋ぎ直したりする「作業」パートもあるんで、観客の意識も結構な頻度で現実に引き戻されるわけ。「恐怖」はあくまで底流としてゆったりと流れ続けたまま「日常」パートの喧騒がガヤガヤと進行するのです。

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ゆえに、そのチョロチョロした流れが一気に勢いづいて本流となる瞬間、すなわち「恐怖」が日常に侵攻して平和な世界をぶっ壊し始めるその瞬間に最高にカタルシスが生まれるのです。キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!となるわけです。

 

逆にいつまで経っても本題に入ろうとせず、ラストまで引っ張ったあげく撃沈したのが本家『パラノーマル・アクティビティ』です。

 

 

あと、この映画はパソコンの画面が舞台となるわけですけど、上の「閉じる」ボタンがなくなってたり、プルダウンメニューで選択肢が選べない(薄色になってる)とかって、僕らがパソコンやってるときにリアルに経験する「恐怖」体験ですよね。

あの無機質なPC画面特有の問答無用な感じというか、取り付く島もない、感情が通用しない絶望感。あの冷や汗がでる「恐怖」はそのままこの映画の「恐怖」にも繋がっています。素材のインターフェースの使い方もなかなか上手いなーと思いましたね。

 

 

逆にちょっと残念だったのは、各キャラの死に様。

ミキサーはなかなか良かったんだけど他がなぁ……死に顔とか直接的に見せすぎていてなんだか間抜けです。興醒めです。役者さんの演技が悪いってわけじゃないんだけどね。

画面全体に血がビチャーとか、そんくらいの間接表現に留めておいたほうがかえって怖かったんじゃないかなあ(´・ω・)

 

 

あと、気になったポイントとしては

 

Skype同時通話くらいでフリーズしすぎ

・アメリカの高校生の生活荒れすぎ

・みんな夜に自宅に一人でいすぎ

・ローラ・バーンズ面倒臭すぎ(たぶん生前から相当嫌われてたぞお前)

 

 

てなわけでいろいろツッコミどころはあれど、真夏の夜にふらっと観に行くお手軽ホラーとして、悪くない選択だと思います。シン・ゴジラの衝撃で混沌とした脳みそをリフレッシュさせたいお方は、どうぞ劇場へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、ローラ・バーンズのfacebookアカウントは実在します。

 

開くかどうかは自己責任で(`・ω・´)