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【書評】初音ミク、キミは誰のために歌う?―cosMo@暴走P『初音ミクの消失』

 

初音ミクの消失 小説版

初音ミクの消失 小説版

 

 

 VOCALOIDソフト「初音ミク」の名は、多くの人がご存知だろう。緑色のツインテールの少女が、こちらの作成した曲にあわせて歌声を披露してくれる。その愛らしい姿は多くの人々の心を掴み、今や彼女の歌は大企業のCMに採用されるまでになっている。

 

 これは、そんな初音ミクが生まれるまでの物語である。

 

 といっても、ソフト開発のドキュメンタリーではない。初音ミクは登場人物のひとりー人工知能を持った精巧なロボットとしてー登場する。

平凡な大学生の主人公・朝乃は、ひょんなことから開発中のロボットであるミクのフィールドテストの担当者として、彼女と生活をともにすることになる。しだいに人間とロボットという垣根を超え、惹かれあう2人だったが、そこには過酷な運命が待ち受けていた。

 

 初音ミクは確かに可愛らしい女の子だが、現実にはロボットではなく、感情を持たない、単なる音声プログラムにすぎない。もちろん自由に意思を持って動くミクが三次元に現れるわけはなく、当然、この物語そのものはフィクションである。

 

しかし最後まで読み進めたとき、あなたは現実に存在する「初音ミク」の姿を、これまでとは別の目で眺めている自分に気付くはずだ。そう、この架空の物語は、読み手の「現実」を変えてしまうのだ。

 

 あなたの目の前で歌う初音ミク。彼女は何のために、誰のために歌っているのか。

 その答えを知りたくば、この物語に足を踏み入れて欲しい。

 そして知って欲しい、物語が現実を超える瞬間を。

 

 

初音ミクの消失 / cosMo@暴走P feat. 初音ミク(ジャケットイラストレーター:左 )【数量限定初音ミクの消失ストラップ付き】

初音ミクの消失 / cosMo@暴走P feat. 初音ミク(ジャケットイラストレーター:左 )【数量限定初音ミクの消失ストラップ付き】