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【雑記】エイプリルフールという悪夢ふたたび

 エイプリルフールである。

 

 昨年の4月1日は、こんなエントリを書いた。

 

【雑記】エイプリルフールという悪夢
http://nora912.hatenablog.com/entry/2014/04/01/220820

 

 タイトルから明らかなように、ぼくはエイプリルフールが嫌いである。
 クリスマスとかバレンタインデーは糞カップルどもを視界から殲滅させればそれで済むが、ことエイプリルフールとなると男も女も、ニートも正社員も、ぼっちもリア充も関係なく、どいつもこいつもドヤ顔でご自慢の冗談をささやいてくるので大変たちが悪い。

 

 

 嘘が嫌いなわけじゃない。
 優れた嘘は優れたエンタテイメントたりえる。

 

 

 下手な嘘が嫌いなのだ。
 芸になっていない嘘、そのへんに転がっている誰でも考えつきそうな嘘、不快感しか抱かせない駄話、ピン芸人しか出てこない末期のエンタの神様レベルのジョークを「どうです、面白いでしょう」とばかりに顔前に突きつけてくる、その暴力的かつ卑小な態度、あまりに大衆的な無邪気さ、弛緩しきった表情が、何より私を苛立たせるのだ。

 

 

 

 ウソでしたー、ってやかましい。
 お前の存在自体が嘘であってほしいと俺は願う。
 全身を強く打ってまもなく死ね。
 明日の天気は雨のち晴れ、ところにより死ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんてね。

 

 

 はい、というわけでエイプリルフールですね!
 ぼくのウソはいかがだったでしょうか。

 


 もうね、ホント自分、エイプリルフールとか大好きですし。
 楽しいウソを聞くのも大好きですから。

 


 あー楽しい。
 もう一年でいちばんエイプリルフールが好きですね。
 エイプリルフール万歳。
 エイプリルフールを家宝にします。
 もうエイプリルフールになら抱かれてもいいわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ?
 何こわばった顔してるの?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 閑話休題
 繰り返すが、今日はエイプリルフールである。


 上のエントリにも書いたとおり、今日は国民が一斉におのれのギャグセンスを試される非情な一日である。あるいは、加減を間違えてブログやツイッターを炎上させ、人生を誤る者が続出する祭りの日である。さらに言えば、自分からは祭りに乗らず、周囲が自滅していくさまをニヤニヤしながら眺める意地悪な人間が暗躍する日である。


 かくも罪深いエイプリルフールであるが、ひとつ有用な使い方がある。
 平常時であったら言いづらい本音や事実を、「嘘」という保険をかけつつ相手に提示し、その反応を伺うことができるのだ。

 


 たとえば想いを寄せる相手に「あなたが好きです」と言って玉砕しても、今日だけは「ウソでした―」の一言で、行為と結果それ自体が内包するダメージを軽減することが社会的に認められるのである。
 もっとも、そう言われた相手がどう思うか、あるいは告白したあなた自身へのダメージが軽減されるかどうかは預かり知らぬところであるが。

 

 

 


 ところでこの場合、発言が「嘘」であるか否かは発言者の主観によって決定される。

 

 「いま俺の家にスティーブ・ジョブズが遊びに来てるんだぜ」という発言は(あなたがスタンド使いとか公開霊言を駆使する教祖でない限りは)「嘘」であると客観的に判断できるが、「あなたが好きです」という内面の告白についての虚実は発言者にしか判断できない。否、発言者ですら判断できないかもしれない。


 「嘘」とはかならずしも客観的に判断できるシロモノではない。時には、かくも主観に左右されるあやふやなものだったりするのだ。

 

 そう考えると、エイプリルフールに「結婚します」「実はオレ、○○なんだ」系の、明白かつ無害な嘘が好んで使われる理由も分かる気がしないだろうか。

 


 虚実が入り交じる、あいまいで混沌とした日常の世界にわれわれは疲れ果てているのだ。今日くらい、はっきりした「嘘」でスッキリしたいのだ。「明白な」コミュニケーションの真似事をしたいのだ。明日からはまた、嘘を嘘と言えない、事実を事実と言えない「優しい」世界へと戻らねばならないのだから。

 

 

 

 

 

 そんなことをぼんやりと考えていたら風呂が沸いた。
 いまから入る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、この雑記はどこまでが「嘘」だっただろうか。
 書いてる自分でもよく分からないや。
 読んだあなたが決めてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 ちなみに、風呂はまだ沸いていない。