ノラブログ。               

 
 
 
 
 

ヤバい人たちに洗脳されないために

 

そういやここんとこ雑文とか書いてねーな、と思ったのでふと書くよ。

 

 

最近、集団における人間の心理に興味があって、手当たり次第にノンフィクションを読んでいた。

興味の矛先は、端的に言えば、「ひとはなぜ集団のなかで狂うのか」ということだ。

 

 

 

ちょっと何冊か紹介。

 

 

 

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

 

 『消された一家 北九州連続監禁殺人事件』(豊田正義著・新潮文庫

 

家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

 

 『家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』(小野一光著・太田出版

 

 

いきなりキツいのきちゃったなあ。どちらも日本、いや世界の犯罪史に残る凄惨な事件を取り上げた本。苦手な人はマジで反吐が出るんで気軽に読まん方がいいです。

どちらの事件も内容が強烈すぎるんで詳しく紹介しないが、「突然現れた部外者によって家族がめちゃくちゃにされ、互いに憎み殺し合うことになった」という点は共通している。いずれも事件の首謀者(北九州事件は死刑判決、尼崎事件は拘留中に自殺)のキャラが立ちまくっている―というか「悪」の体現として完璧すぎて、こんなのに目つけられたらそりゃひとたまりもないやろうなぁと妙に納得してしまう。

 

 

 

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白 (講談社文庫)

恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白 (講談社文庫)

 

 『恥さらし 北海道警悪徳刑事の告白』(稲葉圭昭著・講談社文庫)

 

いま公開されている綾野剛主演の映画「日本で一番悪い奴ら」の元ネタ。

日本警察最大の不祥事こと「稲葉事件」の当事者が書いた手記。真面目で正義感溢れる熱血刑事がしだいに手柄をあげることにのめり込み、警察組織のバックアップあるいは黙認のもと、犯罪に手を染めていく姿が克明に描かれる。あっけらかんと書かれていて笑える場面も多いので(死人出てるんだけどな)、結構万人向けにオススメ。

 

 

 

ドリーム・キャンパス

ドリーム・キャンパス

 

 『ドリーム・キャンパス スーパーフリーの「帝国」』(小野登志郎著・太田出版

 

いわゆる早稲田大学スーフリ事件(もう、いまの若い人は知らんかな)を扱ったルポ。要はヤリサーの集団女性暴行事件なんだけど、単に男が女をひどい目に遭わせた系の話じゃなく、ある件の被害者(女)が別件では加害者側になっていたりするのでもう見てらんない。

意外なことに、首謀者の男たちはいわゆるウェイ系ピーポーじゃなかったらしい。むしろ高校までは女性が苦手なタイプで、大学デビューで調子乗っちゃったのが大半だったようだ。非モテをこじらせたゆえの強烈な反骨精神がノンストップで突き抜けた結果、辿り着いた終着駅が刑務所だったと考えると、なんだか他人事に思えない。

 

 

 

さて、なんでいきなり「集団」なんてものに目を向けたかといえば、われわれ平成のオタクは基本的に「群れる」動物だからである。

 

特にコスプレなんてそうでしょ。ぼっちで自撮りしてるのは正直つらい。ふと周りを見渡せば、みんな友達と楽しそうにキャッキャしている。孤高を貫けるのは一部の超人のみである。そんなわけでわれわれ凡人は、誰かと愉しみを共有することが必然となる。それが拡大して、やがて「集団」が形成される。

 

さて、これは趣味や興味を発端として形成された集団である。学校や家族みたいな強固なものじゃなく、あくまで俺の人生における数%を他人の数%と共鳴させる、ゆるいつながりである。これが強くなるとみんなで会社を作ったり、一緒にプロジェクトを遂行したり、あるいは交際・結婚したりする。これは「絆」の健全な発展形であろう。

 

 

 

ところが、「絆」を強固にすることが、必ずしも良い結果ばかりもたらすとは限らない。

 

もちろん殺人まで起こす輩なんてそうそういないが、所属するメンバーを疲弊させ、周囲から孤立させ、組織への依存を強要する集団というのは、それこそ中学校の教室から会社組織、趣味の世界に至るまで、そこかしこに点在するものだ。

これを「悪しき集団=カルト」という。北九州事件・尼崎事件は、一人のカリスマが周囲の人間を次々と屈服させ、支配下に置いていった。北海道警は「うちではこれが正しいの」とばかりに組織ぐるみで違法な捜査を行っていた。スーフリは、いかに犯罪行為を手際よく行い、完璧に隠蔽するかに特化した集団だった。いずれも、外部から切り離された蛸壺(たこつぼ)の中でじっくりと醸成された「カルト」であった。

 

 

ところで俺はけっこう意識して、特定の集団に依らないように気をつけている。それは俺の危機意識が高いとか孤高を貫ける精神力があるとか、そういうポジティブな理由ではなく(むしろ寂しがり屋である。てへ)、根本的に協調性に欠ける心根を持っているせいで、あまり特定の集団に没入することができないという性分ゆえである。

 

以前にも言った通り、俺は基本的に俺のやりたいことをしたいので(もち法律の範囲内でね)、それが嫌だって人は離れてね、ってスタンスであるし、たぶんしばらくそれは変わらないと思うのだ。趣味なんだもん、気楽にやりたいぜよ。

 

 

 

別にわざと嫌われる言動をとる必要なんかないのだが、あくまで趣味とはあなたが、あなた自身が楽しむという目的が根底にあるってことは確かだし、覚えておくべきだと思う。そこを忘れて「集団」に奉仕し始めるとき、何か危険なものが水面下で動き始めるのかもしれない。

 

 

 

願わくばあなたが、あるいは俺が、その兆候に気づき、一線を超える前に踏みとどまれますように。

あなたが、俺が、明日「カルト」の一員として逮捕されないという保障など、どこにもないのだから。